

Pity kitty high school
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▷File1.
▷愛沢・ぱふぃ・らびぃ
バスに乗り込んだ。
2人いっしょに座れる席が前を向いて10組設置されているうちの、
いつも前から2番目の左窓際。ぱふぃちゃんのお気に入り席。
ピンクやパープル、チェックなんかのかわいい色かわいい柄に包まれた
ラブリーぱふぃちゃん直々プロデュースのスクールバス。
今日もふわふわに可愛く巻けたわたあめみたいなピンクヘア。
まばたきするたびにラメの反射するピンクメイク。
かわいいに四方八方を囲まれてきょうも愛沢・ぱふぃ・らびぃのかわいい1日が始まるの!
そんなことを考えていれば、かわいいバスが揺れて
たくさんのきらきらアクセサリーがキュートな後輩達が乗り込んできた。
🍗「あらお師匠さま、おはようございます。…香水かえられたのですか?いい匂いですのね」
🌈「あ!ぱふぃなのら〜おはよおなのら。まだねむねむ…ふわあぁ…う〜授業がんばるのら」
てぃてぃくんに、じぇりぃちゃん。
たまたま一緒のバスに乗ってみんなとおしゃべりしながら学校に向かう…
ぱふぃちゃんはこんな些細なことでも運命だと思うんだよね!
そのほうが、楽しいじゃない?
🌈「今日はたまたま早く起きれたけど叶うならもう一回お布団に包まれたいのら…
でもこんなかんじで授業を受けたら赤点補修も夢じゃないのら!うーーっ」
🍗「では…俺が授業中声をかけてあげるので、ちょっとだけ頑張りましょうね。
じぇりぃちゃんは元気いっぱいのほうが面白いですもの」
…そのままどのくらい揺られただろうか、
おしゃれやコスメのことをきゃいきゃいと話してれば時間を忘れることも無理はなくて。
バスはキ!とブレーキを踏み停車した。
はて?時間を忘れて新しいポリッシュの話はしたけれども、でもまだ校舎までは時間があるはず。
何せ財閥の所有するコロニーがそんじょそこらの大きさではないことは2番目によく知っていた。
👻「ひぃ…はぁ、甘雨…!!忘れ物…!!
ペンケースなかったら勉強できな…って、あわわ…」
ぼわん、そんな音が聞こえたような気がして、窓ガラスを通り抜けて登場したアムちゃん。
…なんだか焦ってるみたい?
👻「話の邪魔、しちゃいました…?
アムがギャルでおしゃれなお三方の腰をおってしまってすみませんね...
う、いきなり突撃しちゃって恥ずかしい…」
🌈「…あ、あむ…!危ないとこだったのら助かったのら〜…!!
こしを...?じぇりぃ達座ってたから痛めてないのら。
だから平気なのら〜あむも一緒にがっこいこ〜なのら!」
真っ白美白なお顔が少し赤らんで、じぇりぃちゃんの横にふわりと降り立ったアムちゃん。
うんうん、仲良きことは美しきことかな〜なんてね!
ギャルとしてはおしゃれが気になるならバンバンお手伝いしてあげたいところだけど!
そんな調子で楽しく揺られて約15分。
少し無機質なアナウンスが後者への到着を知らせる。
バスステップを軽やかに降りて、空を見上げた。
今日はいいお天気だ、みんなを誘って中庭でピクニックでもしようかな?
あっでもカーテンが風に吹かれてきらきらしてるのは教室のかわいいところだよね。
そんなことを考えながらご機嫌に伸びをすれば、ふっと一瞬影がよぎった。
雲じゃないしなあ、速すぎる。アムちゃんは高いところ苦手だし。
あ、そっか〜〜
背中の羽に力をこめて羽ばたかせる。
心地いい春の風と日差しが肌を撫で、この軽い体はすぐに浮き上がって校舎の上空へ。
💘「ビタくん!午前の授業サボろうとしたってそーはいかないのよ!
今日も授業に出てもらうから!」
🦇「わっぱふぃちゃん!おはよ。…てへ。座学つまんないんだもん〜…
おねがい見逃してくんない?」
💘「ダーメ!お勉強できるに越したことんないじゃない!
ここはいちおー学校なんだから。
ぱふぃちゃんがキミを捕まえられたら
今日もしっかりみっちり受けてもらうからね!」
捕まえられるもんならどうぞ。
そんな挑発的な視線を向け、びゅん!飛び去っていった彼。
でもね、ぱふぃちゃんスピードには自信があるの。
それにこの学校のことなら熟知してるのよ。
彼が校舎の周りを飛ぶなら先回り、渡り廊下のトンネルを潜り抜けて死角から。
そんなことを繰り返して距離を縮め、角から飛び出したキミの手を取った。
💘「ゲームオーバー!よ!さー観念して今日も戦略を詰め込んで。
日頃コイツらくんたち指令してるからか容量はいいんだから、一緒に真面目にやろうよー!」
🦇「あ”〜…今日は逃げられる気がしたんだけどなあ。
惜しい〜〜あともうちょいで予鈴だったのにねえ、ほら」
彼の言葉を合図にしたように放送が鳴り響いた。
きんこんかんこん。
ああもうこんな時間、早く教室に行かなくちゃ!
遅刻してママに幻滅されたくないもの。
ぶうたれるビタくんを引っ張って、窓から教室へ。
こーゆーのなんて言うんだっけ?
パーマン入りってやつだあ。飛べない人、飛べないモンスターは真似しないでね。
午前に行われる座学授業の内容は成績に大きく加味されない。
だから正直なところ、寝ていても爪塗ってても
ポテチ食べ始めてカンニングしても卒業はできるのだ。
でもぱふぃちゃんはみんなと違って戦闘訓練成績Dだから…
そんでもってかわいいヒロインはみんなをよくみててお勉強熱心だから。
だからちょーっとおせっかいでも無理くりでも頑張っちゃうってワケなのよね!
だってその方が、楽しいから!
ガラガラと引き戸から、ママ…じゃなくて、学園長が今日も鋭い目つきで入室する。
よかった間に合った、ストラップでぢゃらぢゃらのスクバからノートを持ち出して授業の準備を始める。
この爪でも慣れれば普通に文字が書けるから不思議だよねー
ボールペンを爪にそのまま乗っけて固めちゃえばもっと楽かもなあ、
ぼんやりカチカチシャーペンを繰り出、
ぐうぅぅぅぅ〜〜…。
🧬「…静粛に。諸君、お早う。
本日からは戦争論についてだ、まずはこの映像教材から人類の歴史に紐づいた...」
素知らぬ顔で授業を始める学園長。
あれ?言ってなかったかな、お仕事ダイスキなママは普通に授業してるのよ。
あーあ、ママに休みはいつ来るのかな……
そんな中でお腹の音の主は今頃顔を真っ赤にして耐え忍んでるだろうなあ。
…海ちゃんっていう子なのだけどね。
🍯「も〜〜最悪だよ…っ!!
なんで鳴っちゃうのかな、しかも学園長の前で…!
あとで呼び出しとかされるのかな?ううっ怖〜…!!」
休み時間、1限が終わってすぐさま、お腹が空いてるんだなぁといちごミルクのチョコレートを差し出すと、
小さくありがとうねとつぶやいて包み紙をかりかり剥がしながら彼女はそう嘆いていた。
🍯「またちょっと…その、増えてた…からね?仕方ないじゃない。
あーダイエットなんて言って朝抜くんじゃなった…。
でももーちょっとで標準体型ゾーンから出ちゃうんだよ?大ピンチ!どうしたらいいんだろ……」
まず大前提に、彼女は今の体系でも素敵だと思うの。
かわいいに敏感なぱふぃちゃんが言うんだもの、絶対間違いないよ。
でも肝心なのは海ちゃんがどうなりたいかだから、今はそっといちどミルクだけあげちゃうの。えへ。
💘「食べなさすぎると倒れちゃったりするし…それに鳴らしたくて鳴らしたんじゃないもんね、
大丈夫だよ〜う!無理のない範囲でかわいくなっていこ〜ね、よちよ〜ち」
🍯「はぁ〜...午後はちゃんと受けてるし運動してないわけじゃないんだけどなあ、
いつになったら痩せられるんだろ〜……チョコレートありがとう、この後鳴らないといいなあ……」
2限、3限、4限。
退屈なように見えてあれば訓練に役立つ科目ばかりを淡々とこなして、毎日毎日似たようなことの繰り返し。
ふわ、ふわ。
天使の羽が、春の陽気な空気の中を漂っている。
いちごみるくに刺さったストローにぢゅ!と口をつけて、大きなあくびをした。
退屈な午前の授業が終わった昼休みに、
いちごのお弁当いちごの水筒いちごのお箸にいちごのランチョンマット。
ピンクと甘ったるい匂いでいっぱいの世界から窓の向こうをぼーっと見つめていた。
今日はピクニックじゃなくって、教室からお昼するんだあ。
🫖「愛沢さん。どうかいたしましたの?」
そう声をかけてくれたのは、花散里リリィちゃん。
いちごの甘さとはまた別の芳しいお花の香りを揺らしてティーポットからお上品に紅茶を注いでいた。
もちろん食器には曇り一つ見当たらない。
💘「ううん。お日様あったかいなーとか今日も午後がはじまるなーとかて思ってただけなの。
こーゆー日は洗い立てアイロンしたての白くて軽いブラウスが着たいなあ…」
🍥「ベルちゃんベルちゃん、よければご飯を一口交換こしましょうよ。
私の買ったパン美味しいのでおすそわけです」
☎︎「いいの?そういうのすてき!じゃあわたしはこっちのタコさんあげるね。
ウインナーでできてるのよ、かわいいでしょう!」
ふと横の机にくっついてご飯を食べている1年生組へ眼を向ける。
まだぴか高へ入学したばかりのりんべるちゃんととわりちゃんだ。
🫖「とわりにべる…ふふ、微笑ましいことですわね。あとでお菓子をあげてこようかしら?」
ティーカップにさらりをお砂糖を織り交ぜて、何かあったかしら、何をあげようかしら?
とお紅茶を口に運んでいる。そんな様子が微笑ましいのはリリィちゃんもなのよね、
って言葉をいちごミルクで飲み込んだ。
でも確かにきゃいきゃいと楽しそうにお昼をたのしんでいるものだからついつい口角が綻んでしまう。
☎️「とわりのパン…ん、りんごのジャムでおいし〜!シャキシャキなのね。
これはすてきなものをおすそわけしてもらっちゃったんじゃなあい?
うふふ。卵焼きもあげちゃ〜う!も一口ちょうだいな!」
するとふいにりんべるちゃんが廊下へ視線を向けてとわりちゃんへこしょこしょと内緒話を始めた。
なんだろうなあ、楽しいことでも見つけたのかな?なんて思うと
廊下からメイ・パールドールくんが入ってきたので、彼かと納得する。
1年生組は挨拶をしてから彼をわちゃわちゃと囲み、
用があるから と言われると一緒にバイバイしていった。
どうやら中庭でお花と一緒に続きを食べるみたい!
いってらっしゃいなんて思いながら小さく2人に手を振った。
さて、そのメイくんが目指すのは一直線にぱふぃちゃん…の隣に座るリリィちゃんへだった。
🚬「リリィ、今日は昼俺持ってきた。アップルパイ一緒に食べよーよ」
🫖「…気が利きますのね?優秀じゃない。今日は...あら不思議。
たまたま、アップルパイに合うようなお花の香りがひときわ芳しい茶葉ですの」
ではごきげんよう、とぱふぃちゃんに一つ軽く会釈をすると
リリィちゃんとメイくんはもったいぶって見せつけるように、一緒にでかけていった。
こういうのも一度きりの学園生活には必要だよね、青春ってかんじー!
…もちろんそんな状態を彼が見逃しているわけはなくて。
教室と廊下の境界線。そこへメイくんが踏み込んだと同時くらいか、
ぬっと現れた長身の彼。そう、オリバーくんだ。
⛓「リリィ、どこへ?その男と行くのか、フン…リリィのことを大して知らない癖に」
🚬「オリバー...先輩。話はそれだけ?いいですかもう行って」
⛓「メイ・パールドール、お前に話しかけているのでは無い。
私は今愛しいリリィと話している、出しゃばって来るな」
🫖「ではわたくしから進言致しますわね。
のいてくださる?第一わたくしが誰とどう居ようとオリバーに関係ないでしょう…
いつまで幼馴染面しておりますの」
リリィちゃんが強気にそう言い放つと、オリバーくんは静かにそっと引いて道を譲った。
ぱふぃちゃんとしてはクラスみんなに仲良くしてて欲しいところだけど…
あそこはいつもあんな感じだ、みてるこっちがヒヤヒヤしてしまう。
🌷「メイくん行きましょ、構うだけ貴重な昼休みを消費してしまいますもの。ごきげんよう」
ツタで彼ごと引っ張って彼女は離れていった。
...オリバーくんとメイくんの間に会話こそのかったものの、
その視線には明らかな敵対意識が浮き出ていた。うー、こわあい!
🐉「あ〜〜、Gが振られてやんの。そろそろこっぴどく言われた?
ビンタくらいされたらおもしれ〜のに...あっ顔はお前キレるもんなあ、めんどくせ〜え!」
…もう1組不安な2人が揃ってしまった。
竜宮城恋くんにオリバーくんだ。
あーあ、モンスター科でみんな仲良くは本当に無理なのかな...!?
⛓「黙っていろ雌蛇。リリィが退けと言うなら退くんだ、
お前は昔からそうだな。適当な発言ばかりして仕方のない」
🐉「おげ〜〜言いなりじゃあん。他人によくそこまで心酔できるよなァ、
俺様には俺様がいるからガチでわかんね〜しキチ〜って思う!
それにラヴならさあ、あの女って草なんだから無理矢理摘んじゃえばい〜だろ」
⛓「まだ動くならその口無くしてやろうか、ご自慢の顔が潰されて体操柳顔になれるぞ」
🐉「上等じゃん。ブスがイケメンに何言っても全部僻みになるから大変だよなァ〜?」
あ〜〜っほんとうに乱闘になりそう!
授業前だしまずいよ、止めなきゃ…!!
そう思って机から立ち上がった時だった。
🪞「…?ここでなにしてるのお?お邪魔だよ。踏み潰しちゃうまえにちょっとだけすみにいってね」
わたしの倍以上ある身長にのんびりマイペースな彼女が2人の間を踏み分けて、
ゆうに2mほど引き剥がしてみせた。こればかりはぱふぃちゃんには真似できない芸当だ。
💘「凍メルちゃん…!!う〜っめちゃくちゃナイスだよ…!!お菓子いる?いちごミルクばっかだけど…」
🪞「おかし…も食べるけど、次の授業。お着替えいかなきゃ…訓練があります、よ?
準備しながらとか、すぐ食べられるものがいいなあ」
そうだ、いざこざで一瞬頭から抜け落ちていたが、
次のモンスター科は学年合同でペアを組んでの”戦闘訓練”だ。
…組み合わせによってはなかなか白熱しそうなのよね。
しっかり準備をして臨んだほうがいいだろう。
💘「そおだね…じゃあ凍メルちゃんにはこれあげるね、マカロン!
いちごのクリームで挟んでてピンクでかわいいんだよう。
更衣室には先に言ってて、ご飯片したらぱふぃちゃんも行かなきゃー!」
もすもすと、口やおててに対して少しばかり小さい菓子を前にして、
味わうように確かめるように咀嚼している彼女を横目に
広げたランチョンマットやお弁当箱をしまっていく。
ぱふぃちゃんはアクセサリーもたくさんだから、早めに準備しなきゃ。
ぱたぱた羽を急がせて快速列車で。
…廊下を”走って”はないからいいの!
ぴか高モンスター科特有の、戦闘時着用が推奨されているコスチューム。
各々の進化に合わせてより効率的に継続的に敵を倒していくためのコスチューム。
ぱふぃちゃんの場合はメガホンさえあればわりかしなんとかなってしまうので、
その制度を利用してかわちい服を集めただけなのですが。
でもかわいいは自信に、自信は戦闘力に回帰するのダ!ママを説得するのは大変だったなあ。
🐱「ぱふぃせんぱい…!!う、ど〜〜しましょ…!!」
ロッカーの立ち並ぶ更衣室でサナナちゃんはそう不安そうに打ち明けた。
ふわふわのヴルコが、ぱふぃちゃんのおててをぎゅっと握っている。
🐱「このあとの訓練はみんなペアになって戦うってきーて…!!
でもでも不安なんです、あの…う…う…ボコボコにされたくないし…」
彼女とは、彼女の入学前から面識がある。
今ではすっかりかわいい後輩なのだが、なんだかいつもより不安に思う気持ちが強いみたい。
💘「そっ…か。そうだねえ、いつも仲良くしてるお友達同士で訓練するのも怪我したりするかもなの、
怖いよね。ぱふぃちゃんもそう思うけど、でもサナナちゃんと一緒ならぱふぃこわくないなあって思うよ。」
💘「だってサナナちゃんつよいもの。一緒に来てくれたらぼく安心できるなあ、心強いなあ...!」
そう伝えて、ヴルコちゃんを握り返す。
精一杯の応援が伝わるといいんだけどな、
🐱「せんぱいも…?んぐ…サナにもできるかな…でもせんぱいが言うんだし、
そもそもぐろっきーずと戦うのが怖いから授業で練習するんだもんね…ゔーっゔーっ...
…着替え、します。はあ、できるかな…」
サナナちゃんは事合ってぱふぃちゃんのことを慕ってくれてるけど、
ぱふぃちゃんも戦うのが怖いのはほんとなんだよね。
まともに戦えないし、みんなと仲良くしてたいから傷つくところもみたくないもん。
でもだからこそ、ちょっとでも強くないとかわいい後輩もダイスキな学校も守ってあげられないんだよね。
怖いのはなかなかなくなってくれないから、怖いまんま頑張るしかないの。
💘「一緒にがんばろーね。きっと大丈夫だよ、慣れていくための場所だもの。」
ぎゅっとハチマキを巻いてぱん!と頬をはたいた。
扉の向こうではママが、モンスター科のクラスメイトたちが待っている。
もこもこでかわいいシューズをしゃんしゃんと揺らしながら、自分の羽で舞い上がって見せた。