

Pity kitty high school
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▷File2.
▷牛森海
白と黒を基調としたコスチュームを、軽く引っ張っては離す。
また少しきつくなった気がする…気のせい?昨日の訓練もこんな着心地だったっけ?
一度気になればずっともやもやと不安が頭を取り巻くこの感覚は、心地いいわけでもないのにやめられない。
大きなため息をついて、体育館を見まわした。
周りにはキメキメなコスチュームを纏ったモンスター科が勢揃い。
きょろきょろと周りを見回しても、誰に話しかけていいのやらって感じで…。
💘「ギリギリ…っセーフ!まだマ…学園長来てないよね!?」
🐱「せんぱいネックレス忘れてます…!!これっ!まだ時間あるので焦らないで…」
訂正。勢揃いはしてたけど、この2人が最後まで更衣室にいたみたい。
ぱふぃちゃんは時間毎にネイルの補修してたり髪巻き直しで、
一番最初に入ってきて一番最後に出て行ったりするのだ。
🦇「せんせー、まだ来てないみたいだよ。いつもなら放送と一緒に来るけど…」
きんこんかんこん。
短い針は1、長い針はぴったり6をさしていて、
本来ならこのタイミングで学園長が登場するのに30秒…1分…2分…5分待っても彼女は現れない。
自主的に準備運動を始めるモンスター、座り込んでおしゃべりに夢中なモンスター、
端っこで不安そうにわたわたしてるモンスター。まあつまりうちのことなんだけど。
🪞「…ふしぎ。あの方びっくりするくらい時間厳守ってかんじなのに、
こんなに遅れるものかしら?ねえおねえさま」
🫖「もしや、忘れてるなんてことないわよね。わたくしを待たせるなんて…
いえ、そんな口を聞いてはいけない相手かしら」
🦇「ええ〜!オレ戦闘訓練はサボろーとしないでちゃんと来たのに。
えーなんかあったとか?まあ気長に待ってたらそのうち来るんじゃないかなあ。」
みんなが好きなように過ごしておしゃべりするなかうまく口を出せなくて、
自分の粘液を使い、まあるいスライムを生み出して手で弄ぶ。
🐉「ん?それ俺様食べてもい〜ヤツ?もらうなア。
さっきよ〜キモ虫に絡まれたせいで飯中途半端だったんだよなア。減るもんじゃねーしいーよな」
ふいに、手の中で遊んでいたスライムをひょいと赤い爪に摘み上げられる。
もちもちと咀嚼をしたと思えば彼は満足げに飲み込み、骨ばった喉仏がごくりと揺れた。
🐉「んぐ、悪かないけどこれだけじゃ全然足りね〜…ついでにうみ〜1口ちょっと食べ、」
💘「ママから返信が!!こなあい!!!!!!!!!」
恋くんがそう言いかけたところで、ついにぱふぃちゃんが爆発した。
手にはちゃらちゃらと大量にストラップのつけられたガラケーが握られている。
💘「おかしいよお!もう15分も待ってる…ママが時間を守らないなんてぜ〜〜〜ったいおかしい!!!
なにかあったのかも…ねえみんな!」
きん。彼女のもう片方に握られていたメガホンのスイッチが入って
より大きくなったその声が広い体育館に響いた。
💘「お願い。手分けしてママのこと呼びにいこ!
学校内のどこかには絶対いるはずなんだけど…授業ができなければみんなの成績にも関わってくるし、
ここで何にもせずに待ってるよりいいでしょ?」
不安そうに提案したぱふぃちゃんの瞳は揺れていた。
💘「ママから今日の訓練ペア割は渡されてるんだけど…
うん、この割り振りなら別にそのままでいいかなあ…。それぞれで行動して、ママのこと探してこよ!
授業時間終わってまだ見つかんなかったら、また体育館にあつまってね!」

▷サナナ・ネヲル
ペア割がせんぱいから伝えられて、嬉しそうな顔をするペアや
ゲ!と嫌悪感を露わにしたペアも反応は様々だ。
そんな中ウチは、ぱふぃせんぱいとのペアだった。
🐱「よろしくお願いしますせんぱ…って、どうかしたんです…??」
一心不乱にガラケーの画面を見つめて、大きく深呼吸をしている彼女。
聞けば、先ほどは取り乱してしまったので落ち着くために占いサイトを見に行っていたそうだ。
💘「えへ。ママが来ないって初めてだったからちょっとびっくりしちゃって…
大声出しちゃって恥ずかしいよ、ゆでたこサン太郎だよ。
でもでも切り替えてかなきゃだから!あっサナナちゃんも見る?お誕生日いつだっけ」
🐱「ウチは…2/12です。水瓶座。あと10日遅かったらにゃんにゃんにゃんで…なんて」
💘「んふ、それかわいいねえ。水瓶座水瓶座…あった!
ん。んむむ…うーん、聞く?」
ぱっと明るい顔になったかと思えば渋い顔をされ、あまり明るい内容ではなかったようで。
それでもそんな顔をされれば気になってしまうものだ。
🐱「き、聞きます。ついでにラッキーアイテムとか回避系の助言あります…?」
💘「うんとね…思い通りにならないような嫌なことが起こりそうな日…だって。
でも頑張って向き合うしかないみたい…ラッキーアイテムはパステルカラーのもの?だって」
パステルカラー。校風なのかこの学校には溢れているものではあるが、
そんなことを言われれば不安が募っていく。
🐱「う、結構ガッツリ系の嫌な感じなのかな…怖くなってきた…」
💘「あ〜っごめんね、こんなときに!怖がらせちゃったね。
ほらでもパステル集めてこ?ぱふぃちゃんも一緒に探すし!」
ちらり、液晶画面を覗き見る。
💌──────────💌
♈️...頭上注意!今日もいつも通りな平和!
♉️...欲しい答えをもらえないかも?でもまたチャンスはある!
♊️...どっしり構える事で周りを安心させてあげよう⭐︎
♋️...ハプニングに巻き込まれてびっくり!水難にご注意
💌──────────💌
そんなことが書き連ねてあって、続きを読もうとすればぱちん!と携帯が閉じられた。
💘「ぱっと探しに行ってぱっと見つけちゃお。訓練してればきっとそのくらいすぐ忘れちゃうよ!…多分。」
▷Ring-Bell
☎️「いっしょにいこーよ!アムだけかべを通って先に行ったらさーあ、わたし迷子になっちゃう!」
ふわふわ浮かぶみえないあし。なんだか不安そうにきょろきょろ周りをみわたすおめめ。ペアになったアムちゃんはずっとお腹の痛そうなおかおなの…。
👻「そんなこと…別に、し、しないから…」
☎️「そお?」
少し高いところにあるドアノブにてをのばして、ひねる!
扉のむこうには、りんべるが入ったことのなかった放送室がひろがっていた。
ちょっぴりするほこりの匂い。きいろいギンガムチェックのカーテンが風に揺れてて、おひさまが窓からぽかぽかふりそそいでる。あったかそ〜!
👻「う…学園長授業ほっぽって何してるの?り、リンベル…どこ見る…?」
アムと目があって、そーいえばたんけんじゃなくてがくえんちょうを探してるんだったって思い出す。
☎️「わかんなーい!先生おやつ食べてるのかな?かくれんぼの鬼さんだねえ!あ!あれなんだろー!」
探さなきゃなのはわかってるけど、いろんなところが気になって仕方ない。
👻「うあ〜…好き勝手動いて…アムはお邪魔ってわけ…?」
☎️「? アムも見よーよ!」
アムといっしょに探検できるの、たのしいのになあ。
足りない分の身長をぐ!とひっぱって、たくさんツマミとかボタンがついてる机をのぞく。
ぼりゅーむだとか、BGMだとかのラベルがいーっぱいはってある。
はしっこには「触るなげんきん!」と書かれたツマミがあった。
☎️「るな…げんきん…どういういみ?」
👻「絶対にこれに触ったり動かしちゃダメ…ってこと…リンベル漢字読めないんだっけ」
☎️「ふーん、むずかしいのはわかんない!
ねえ…これ、動かしちゃダメ?」
さわっちゃだめならさわってみたい。みちゃだめならみてみたい。
リンベルしってるよ、こーゆーののこと「こーきしんねこをも…」
って言うんでしょ?続きはわすれちゃったけど。
👻「だめって言ってるでしょ〜…ほら、他のところも見るよ。」
ふい、と棚へ目をむけたアムちゃん。やるならいまね!
☎️「あ・あ・あ〜 きこえますか〜??」
👻「…えっ!?ちょリンベル!?」

▷オリヴァー
最悪だ。何故リリィではなくメイ・パールドールなんだ…。
頭を抱え、不本意ながらも美術室の扉を開けた。
あんなにリリィであれと願いリリィへアイコンタクトしたというのに。
あんなにアイコンタクトしたというのに。
それでも私は優等生なのだ、しっかり務めは果たさなければ。
手頃な場所に備え付けられていたそこには「宗教画の歴史」と書かれた本が所狭しと収められていた。
ぱらり、ページを捲る。
中には十字架にかけられたキリストがつらつらと赤い血を流している場面や、
聖母マリアが処女受胎の告知を受けている場面。
キリスト教の内容が多く、そして所々に青い付箋が貼ってあった。
が、添えられている文字は随分と乱れた筆跡で到底読めるものではない。
意識して見てみれば、アダムの創造・バベルの塔・楽園追放など
旧約聖書の内容が収められたページに集中していることが見て取れるくらいだった。
🚬「このミントカラー…リリィの髪の色に似てるな」
ふと耳に飛び込んできた彼女の名前に反応し顔をあげれば、
メイ・パールドールが彫刻をまじまじと調べていた。
口へ白薔薇が差し込まれており白いつけまつげや軽い化粧が施されている。
確かにリリィは彫刻のように美しいが。
⛓️「…なんだと?私の聞き間違いでなければお前は今リリィの髪の…」
そう言いかけて、突如スピーカーの起動音に続き耳をつんざくような大音量が教室に響き渡った。
「こんにちは〜〜っ!リンベルだよー!じへへっ、ねえこれ、ほんとにみんなに聞こえてるのかな?アムもなにかしゃべってみてよー!」「うえっ!?ええっと…ええっと…ア、アムだけど……うう”…」
「おもしろいねぇ、これは音楽?」
幼なげで少しばかり舌っ足らずな声のあとに、カチャカチャと機材をいじっているのであろう音。
そして爆音で我が校の校歌が流れ始めた。
🎶ああ ピンクの校舎ニヒリズム ああ インターネットチラリズム…
「ぎゃあー!うるさい!」ばち、とBGMの止まる音。そして、
「あ〜…そうだ、学園長〜もう午後の授業の時間とっくにすぎて…ます…」
そう言い残すとスピーカーは沈黙した。
⛓️「……はぁ。あの声は1年生の…。それとなんだ…2年の…あいつか。
…あとで無闇矢鱈と備品に触れるなと言うべきか…」
重いため息を溢してしまうのも仕方あるまい。確かに鼓膜へ影響を及ぼすレベルの騒音だったのだから。
🚬「アハハハハ相変わらず煩いな〜耳痛ぁ、アハハ耳障り〜」
私の発言についてなのか放送についてなのか。
どちらともとれるような発言で煙に撒こうとする態度、やはり…
⛓️「……先刻の放送に遮られてしまったが、私の聞き間違いでなければ
お前は今先程リリィの髪の色の様だと言ったか?メイ・パールドール。
何も知らない哀れなお前に私から1つ知恵を授けよう。リリィの髪の色は #b9d7d9 だ。
リリィの髪の色はこんな下品なペンキの色よりも青みがかっていて
もう少し明るく優しく上品だ。二度と間違えるんじゃない」
🚬「はいはいオリバー先輩って色に詳しんだ〜でもこのペンキの色俺は好きだなぁ淡くて綺麗で。
俺には汚い色とかよくわかんないけど…あとちょっと顔近いです」

▷花散里リリィ
くちゅん。しっかり手で覆って、くしゃみをする。
やだ、誰かにウワサでもされてるのかしら…なんて。メイくんだったら別に許しますけれど。
いいえそんなことよりメルちゃんについていかなくちゃ。そう思って脚を踏み入れる。
そこは床から天井まで埋め尽くされた本の森。
扉の隣にはちょこんと貸し出しカウンターはあれど、他に目につくものは本、本、本。
🪞「図書室ですねえ。……あ、これおもしろそう……」
メルちゃんは本棚に興味が向いたみたいだけれど、わたくしは…
ああ、面倒なことに巻き込まれて疲れてしまったわ。だから休んだって仕方ないでしょう。
🫖「なぁに?? メルちゃん、わたくしにも見せにきて?」
🪞「絵本が多いですねえ。……おや、これなんかかなり古いですねえ?
かぞくのおきて……ふむ!」
立ち寄った本棚には絵本が収容されていたようだ。
有名な童話やおとぎ話から、背表紙だけではパッと内容の思い当たらないような地方のものまで。
その中の1つは特段古びており、何度も読み古された跡がある。「かぞくのおきて」という題名だった。
なんてホコリ…頭がくらりとするような臭さに顔をしかめたが、覗き込む。
🫖「かぞくのおきて? 面白くなかったら燃やしてやりましょうね」
『かぞくのおきて ███ちゃんは かぞくがだいすき!
いつもお██さんから きたいさ█ています きょうもきたいにこたえ██とおおはりきり!
でもうま█おて██いできません おかあ█んはそれでも███ちゃんを信じていました
かぞくよりつよい██な など そんざいしないからです
███ちゃんは いつまでも█かあさんのために かぞくのことばを 忘れませんでした』
ところどころ破れた跡が丁寧にマスキングテープで補修され文字に被さっている。
そこから先のページは破かれ紛失しているようですわ。
🪞「……うん? 本当に古い本みたいですねえ。大事にされてはいるみたい、ですけど。
燃やしちゃったら怒られちゃいますよお」
🫖「この学校の誰かのお話かしら。盗み見たようで後ろめたいですわ…
元あったところに返してきなさい」
🪞「わかりましたあ」
本の隙間に絵本を返して、メルちゃんはそのままカウンターへ目をやった。
貸出に使うのであろうバーコードスキャナーに繋がれ古びた箱型のモニター、
つまりパソコンが起動されている。
画面には履歴が表示されており、つい15分前の項目に
「愛沢・ぺてぃ・らびぃ 『生物遺伝子について』57巻 貸出」 と書いてある。
🫖「生物の遺伝子……なまもの……ああクロカンブッシュが食べたくなってきましたわ。」
🪞「わたしたちにもちょっと縁があるワードですねえ、
なにか研究でもしてらっしゃるんでしょうか。57巻もある…」
🫖「ご大層な趣味ですこと」
大して面白くはなさそうですが、メルちゃんにうんうんと相槌をうって、他の本棚へ歩みを進めた。
🪞「終わったらおやつにしましょうねえ」
こちらの棚には数学や国語などの参考書や、情操教育についての本が並べてあるようだ。
どれも年季が入っており付箋でお花畑がつくられている。
本の中には全ておなじ筆跡で沢山のメモが書き込まれていた。
共用の本ではあるものの、ほぼ私物化されているようだ。
🫖「真面目な方がいらっしゃるのかしら?素敵ねぇ、わたくしはそこまで暇じゃないけど」
🪞「他に借りる人もいなかったんでしょうか。
誰かの教科書になっちゃってますねえ…勉強熱心なのはいいこと、ですよね」
じぃ…とよく見てみれば、それは授業中の黒板でよく見る愛沢・ぺてぃ・らびぃのものだった。
▷甘雨じぇりぃ
🌈「わ〜!れん!プールなのら〜!」
入るなりすぐさま、プールサイドに駆け寄る。
底を見ようと顔をのぞかせゆらめく水面に夢中になっていると、背中を大きな尻尾がくすぐった。
🐉「ンなに走っとズッ転げるぞ〜!背中、押してやろうか?」
🌈「ぎゃ!やめてほしいのら〜!くすぐったいのら!
れんはプール好きなのら?」
🐉「ン〜〜まぁまぁだな!
元々海に囲まれて暮らしてた俺様にプールは狭すぎるぜ!じぇりぃは泳げんのかよ?」
🌈「まぁれんはおっき〜から、プールじゃ狭いのもなんとなく分かるのら。
じゃあれんはおっき〜海が好きなのら?
じぇりぃは…う〜ん…泳げないこともないけろ…
水とゆ〜ご〜?とかしちゃいそうで怖いのら……」
おみずに完全に溶けたら、じぇりぃはどうなっちゃうのら!?
おっきくぶよぶよになっちゃうかもなのら。キングスライムなのら…
あ、でもなんかそれ強そうなのら!
🐉「……別に、好きでも嫌いでもねェな。
でも俺様海鮮大好物だから海には大感謝ラヴアンドキッスって感じだぜ!!なはは!
なるほどなァ〜?ミックスジュースみたいになっちゃうってか!
それはそれで中々美味そ〜だなァ!マ、なんかあったらこの恋様が助けてやんよ!」
🌈「へ〜そうなのら! 海鮮も好きなのらね、れんは!
そ〜いえば、こ〜かくるい?が好きなんらっけ…?エビとかカニとか…ミジンコも好きなのら?
う〜違くはないけろ、なんかイヤ〜な言い方なのら…美味そ…?」
🐉「おう〜大好きだぜ!俺様と同学年にオリヴァーってクソキモブスいるだろ?
アイツの足も外はパリパリ中はプリプリで美味いンだぜ!今度じぇりぃにも食わしてやろ〜か?」
🌈「クソキモブスではないと思うけろ、4ねんせいのおりゔぁーなら知ってるのら!
ん〜、じぇりぃはあんまり知り合いは食べたくないのら…エンリョしておくのら…」
……ぎゃ!マ、マジで落ちるのら!ミックスジュースにはならないのら〜!」」
大口を開けて笑う彼の顔を見上げてとりとめのない話を続けるも、
れんの尻尾はぐいぐいとじぇりぃを押し出してくるのら。それもプールの方向に。
🐉「わはは!!俺様ン為にミックスジュースになってくれよぅ〜って、ンだァ〜この音?」
すると突然、スピーカーから耳をつんざくような大音量で
「こんにちは〜〜っ!リンベルだよー!へへっ、ねえこれ、ほんとにみんなに聞こえてるのかな?アムもなにかしゃべってみてよー!」「うえっ!?ええっと...ええっと…ア、アム…だけど......うう゛...」
…と声が聞こえてくる。2人はどうやら放送室にいるようだ。
その大音量に反応したれんは、顔を顰めて辺りを見渡した。
すると振り向いた拍子に大きな尻尾がじぇりぃの背中にドン!とぶつかちゃったのら!
🌈「…!?わ、落ち…!?」

🐉「オ!ミックスジュースになる気になったのな!俺様丁度喉乾いてたから超〜助かるぜ!
…これ、じぇりぃが死んぢまってたら学園長に怒られっかなァ〜?
あの人、困っちまうかなァ〜?いひひ」
れんはの尻尾で落としたことに気づいていないのか
しゃがんでプールを覗き込みニタニタと笑みを浮かべているのら。
上手いこと浮いたと思えばバタバタと暴れて、必死に助けを求める。
🌈「…ぷはっ!ち、ちがうのら!れんがしっぽで…ぁ!お、溺れるのr…ぶくぶく」
🐉「ンだよ、元気いっぱいじゃねェか!ハキハキ喋るか、
ミックスジュースになるかどっちかにしろよォ〜!
……オマエ、泳げねェ〜のか?」
しゃがんだまま頬ずえをついて、溺れゆくじぇりぃを楽しげにを鑑賞しながら、
退屈そうにパタパタと尻尾が地面を叩いている。
🌈「…ぷは!あ、そういえばちょっとだけなら泳げたのら…
あとさっきなんかフキンシン?なこと言ったのら?ジョーダンでもやめて欲しいのら!
れんがプールにじぇりぃのこと落としたのら〜!…でも助けて欲しいのら、お水怖いのら……!」
どうやら泳ぎ方を思い出して拙く泳ぎ始めるも、あんまり長くはもたないのら…
先ほど自らを突き落としたその尻尾で引き上げてくれればいいのに、!
🐉「ァ〜?言ってねェ〜し落としてもねェ〜よ!生意気なヤツ!
助けて欲しい〜〜??はァ〜世話のかかる赤チャンだぜまったくよォ!この恋様を敬い讃えろよな〜」
れんはその"お願い"を待っていたように、大きなため息と共にばちゃん!
と尻尾を向けてくれた。よいしょよいしょと登るのら。
▷アム・エンヴィー
リンベルが勝手に放送を始めてしまって、あわてて駆け寄る。足はないけど。
👻「うえっ!?ええっと…ええっと…ア、アム…だけど……うう゛…」
☎️「おもしろいねぇ、これは音楽?」
無造作に近くにあったツマミをいじると、ぴか高の校歌が大音量で流れ始めた。
☎️「ぎゃあー!!うるさーい!!」
👻「ちょっと何するの!?アムの耳壊す気!?これだから…
あ~…そうだ、学園長〜もう午後の授業の時間とっくにすぎて…ます…」
☎️「アムすごーい!これで学園長も気がつくねっ
このお部屋、他にはなにがあるんだろー!」
そうだ、ここは放送室なのだからこうやって呼び出せばよかったんだ。
まあこれだけみんなで探してて出てこないなら、
放送一本で呼び出せるないくらいのなんかがあったんだろうけど…
肝心のリンベルはぱちぱちと拍手を送ってくれらものの、
もう机は飽きてしまったのか机をほったらかし、どこかに目移りをしている様子だ。
👻「も~リンベルは協調性とか無いわけ…!?…アムもそんなに無いけど…」
そう言うとチラリと視線を棚に向ける。リンベルもお気に召したようでついてくる。
棚には放送委員が使用しているのであろう、昔世界的に流行ったJPOPや
有名なクラシック音楽の曲名が貼られたラベルと共にフロッピーなどが陳列している。
流すための機械、つまりラジカセは先程のマイクがついた机の隣に置いてあるようだ。
ここに校歌のフロッピーは差し込まれていたため、先ほどの爆音事故も起きたようだが。
☎️「わぁ〜!これなに?いっぱいある!」
👻「た、多分曲とか流せるやつ……ほら、この機械で……」
☎️「ほー…これで流せるのー?」
近くにあった適当なものを、ラジカセにセットして再生ボタンを押す。
すると、ギュイーン!とカッコイイギターから始まる、ロックバンドの曲だろうか。
先程とは違い丁度いい音量でBGMが放送され始めた。
☎️「へへ…かっこいい曲きけばみんなも元気になるよねー!」
👻「ああまた…さわるなって書いてあるのに…アムごときと言うことは聞いてくれないんですね…
まぁさっきも触っちゃったし一回も二回も変わらないか……」
今度は適切な音量で流せたものの、こりはしないのね。ため息をついた。
👻「ほ、ほら終わり…あんまり勝手に触ると後で学園長とかに怒られちゃうかもよ…?」
ぱちんと軽い音を立てBGMを停止する。はあ、とっとと見つかるかこのままサボれたらいいのに。
▷サナナ・ネヲル
大きなグランドピアノ、後ろに貼られたたくさんの肖像画、
ぴかぴかに磨かれたフルオーケストラの楽器たち。
部屋は整頓されていないわけではけど、楽譜や譜面台も所狭しと置かれている。
そういえば吹奏楽部も存在していたはず…。
サナナ・ネヲルは沢山のお顔が並んでいる肖像画。
そのどれも有名なモーツァルトだかバッハだかの錚々たる顔ぶれだけど、
どれもいまいち解像度が荒い。 例えるなら、144pというかんじ。
💘「え~っと…こっちがドビュッシーで、あっちがブラームスだね!
でもでもさあ、この人達いっつもしかめっ面でちょっと怖いよね…
ほら七不思議かいだんってあったじゃない?目が動く肖像画!お決まりだよね」
🐱「もぅせんぱい…!変なこと言わないでください……
うぅ、全部がブキミに見えて来る…ピアノとか急に鳴りだしたりしないよね…」
ふざけるような声色でそう先輩が 冗談を口にするものだから、ヴルコで顔を覆いながら薄目で答えた。
途端、スピーカーから爆音で流れ出した放送。 どうやらベルとアムが放送室から操作しているらしい。
「こんにちは〜〜っ!リンベルだよー!」
💘「きゃ……!も、もうあの2人ったら!勝手に流しちゃダメだよう…
怪談系のびっくりじゃなかったからいいけど。
それに放送室にママは居なかったってことがわかるねえ、あ〜んママほんとにどこいったんだろ?」
🐱「ヒャ"ッ!?……全然良くないし…ゔ〜、早く体育館戻りたい……」
💘「何かあればぱふぃちゃんが守ったげるから、もーちょっとだけ探してみようね。
お疲れだったら休んでても平気だよ!ぱふぃちゃん色々見とくから!」
🐱「あ〜待って…一緒に行きます……」
泣き言を言いながらもついていくサナを横目に、
せんぱいは大きなのグランドピアノへ向かっていた。
鍵盤蓋の裏にはカラフルなステッカーが所狭しと貼られている。
軽く鍵盤を叩けばぽん! としっかり調律された音が音楽室に響く。
何らおかしなところはない普通のピアノみたい、
音と共に中からグミやキャンディーが飛び出してくることを除けば。
そのパステルカラーなお菓子をヴルコがキャッチし、そして器用に口へ運んだ。
🐱「…ナイスキャッチ、ウチちょうど甘いの食べたいキブンだったし、食べちゃおかな…」
💘「いいねえ。お昼は済んでるから…デザートだ!
ぱふぃちゃんイチゴ味が出るといいなあ、出ろ!出ろー!きゃは!」

そう言うとアップテンポな猫踏んじゃったがピアノから流れ出した。 そのネイルでなんというワザ…!
そういえば出会った時からもうスカルプで長かったから、
せんぱいの爪が短いとこ見たことないや。生まれつきなのかな。
🐱「…えへ、お腹すいたときのためにもいっぱい取っておこ。あ、イチゴはぱふぃせんぱいの分…」
💘「ありがとー!ぱふぃちゃんもお菓子回収しとこ~っと。
えへへ…これで休み時間お腹すいても平気だね、いっぱいでたから他の子におすそ分けしてもいいかも!」
▷Andromeda TiTi
🍯「り、理科室って…怖いものたくさんあって、ちょっと緊張する…。
ごめんねてぃてぃくん、いつもうちなんかとこんな…、」
🍗「理科室…。確かに怖い雰囲気ですよね。
海ちゃんが弱虫なの知ってるのに理科室だなんて。
全く…俺はこちらを見ますからね、何かあったらすぐ教えて。」
彼女はじめじめとした空気を滲み出しながら、よたよた黒板へ向かう。
気後れしているみたい、その分俺がしっかり警戒しておかなければ…
そんなことを考えながら机へ目を向けた。
黒板に書き連ねられ意味不明だったその言葉の羅列は、
台形だか円形だか円周率だかの公式が同じ場所に重ねて書いてあるようだ。
日直の欄には名前ではなく、へのへのもへじがピンクのチョークで書かれている。
ほんのすこしなら脇にスペースがあり、何か書くこともできそうで。
そしてこちらの一方、長机。 その一角にはノートやペンが乱雑に広げられている。
何やら文字が書いてあるようだが、まるで画質が荒くなったようにがぴがぴで解読不可能の文字が広がるだけ。
先程の黒板のように重ね書きされているのかすらも分からないほどの画質、
例えるならば144pというかんじだ。
🍗「う〜ん……。正直何も分からないなあ〜…。ひたすら不気味。
……こういうの嫌いじゃないけれどね。海ちゃん、そちらはどうなの?何か分かったりしました?」
🍯「…………えっ、あ…。えっと、何もない…かも?
数学の公式がたくさん書かれてるだけ、かな。 円周率とか、台形の公式とか。
何でだろ、分かんないし不気味…。」
海ちゃんは黒板のすみっこにチョークで龍の落書きをしていたが、
声をかけられればさっとそれを隠した。なにか不安なのかしら?
ああ、俺はこういう時でさえ笑えないのね… と眉間に皺を寄せてしまう。
視界の隅で自分の触覚部分がピクピク動いていた。
🍗「……。理科室とは言え何か…妙な感じがしますね〜…
早く抜け出したい、むしゃくしゃするのたくさん食べたくなっちゃうのに。棚…変なのばかりですね。」
海ちゃんの行動を頭の隅に留めておきながらも、 ホルマリンがびっしりと並んだ棚に手を伸ばした。
うすく緑かかったホルマリン漬けの瓶が所狭しと詰め込まれた棚。
色々とりあえず手に取ってみたり、食べれるのかな?とふと考えたりもして。
…? そのひとつ、微かに水面が揺れている?
そんなことを確認すればその途端瓶は次第に強く大きく震え出した。
まるでまだ生を主張するように、ガタガタと地団駄を踏んではついに倒れ棚から勢いよく落ちてしまった。
中に入っていたのは…複数の動物を掛け合わせたような、なにか。
猫の耳があると思えば片側は鹿のような角に足は明らかにウサギのものだ。
落下して緑の羊水に包まれ もぞもぞと蠢いたものの、その後は泣き止んだように緩やかに活動を停止した。
…腐ったチーズのような酷い悪臭だ。
🍗「ッ……!?!正直ちょっとかわいいかしらねこれ……
でもぐろっきーずなのでしょうか…!?!海ちゃん、ちょっとこちらへいらしてくれる??
妙な原因がわかったかもしれないのです。」
🍯「……?てぃてぃくん、何か見つけ……、 …わっ!?
な、な、何これ…っ、ぐろっきーずってこんなのだったっけ!?」

その挙動を見逃さないように瞳を更に見開いて、 恐る恐る近づいていく。
対照的に彼女は後退りをしたが。
🍗「……もう何ともないのか…?動かなさそうな気もするし。
とりあえず気を緩めて大丈夫そうですね。海ちゃんは大丈夫ですか??
ハア〜〜いちいち疲れちゃいますね〜…」
冷や汗をふわふわのハンカチで拭き取るとため息をついた後、堕ちたそれをよく見ようとしゃがみこむ。
なんとも気味の悪い死体だ。とても美味ではなかろうに。
▷沈香堂凍メル
図書室を後にして、まだ時間があったからと2人で来たのは、学園長室前。
お部屋にお名前が入ってるんだから、ここにいそうですものね。
だが肝心の扉は鍵がかかっているようで今は入れないようで、隣の来賓室なら入れそうだった。
🪞「……おや。閉まってますねえ。こっち行ってみます?」
🫖「あら…いざとなったらメルちゃんがえいってこじ開けてちょうだいな。」
🪞「まあ。わたしの実力を見せるとき、ですねえ」
生き生きとした花の香りが部屋いっぱいに充満している。
つやつやに磨かれた花瓶、お湯の入ったケトルとティーパック、
壁に飾られた愛沢・ぺてぃ・らびぃ学園長の写真…
綺麗に掃除されまだ新しい百合の花が飾られた来賓を迎え入れるための部屋は、
今にもお客を持て成す準備万端のようだった。
なかでも一際目を引く、壁に大きく飾られた学園長。
なんだか重々しい椅子に腰掛けあさっての方向を向いている。
彼女しか飾られていないのは開校して日が浅く他に就任した人間…もとい、モンスターがいないからだろうか。
そんなことを考えながら見つめていれば、2つの瞳がぎょろりとこちらを向いた。
目の錯覚か気の迷いかと瞬きをするともう視線はあさってへ戻っている。
🪞「……? なんだか、今……」
🫖「きゃっ…もう嫌〜…この部屋居づらいですわ、早く出ましょ…」
ケトルとティーパックに興味を惹かれていたお姉さまも怯え、わたしを盾に隠れてしまった。
🪞「あれ。お姉さまにも見えたんですか?生きてるのかなあ。
一回見てみたらわかるかな…先に出ていますか?わたしはもうちょっと見ていきます」
隠していた目をあらわにして、邪視で肖像画を睨め付けるも特段変化はない。
それもそうだ、絵が生きているはずがないのだから。

🫖「知らないですわぁ、いや!生きているなら殺しておしまい…!
えっ…わたくしをひとりにするの!?う、う…まだ一緒にいますわ…」
🪞「おや……そうですか? なら二人でいましょうねえ。
あは、やってみます?本当に殺してしまったら……その時は共犯、ですよ。……なあんて」
その言葉を聞いて、その白魚のような両手がぱっと開かれた。
🫖「イヤよ、わたくしは手を汚してないもの。貴方が勝手にやったのよ?
調べ物があるならさっさと済ませてちょうだいね」
▷星砕とわり
年季は入っているものの、清潔なベット。カラフルで中身はよくわからない薬品棚。
ピンクに塗装された身長計。湿布のような匂いがほんのりしてもなぜだか不快にならないこの保健室。
🍥「ビタ先輩と一緒に冒険できてうれしいです! あ、身長計…前の身体測定より伸びましたかね…」
前回の身体測定は4月、つまり入学したてのつい最近に行われたもので
あまり期間は経っていないが一縷の希望を捨てず ちょん!と靴を脱いで起立板へ登った。
🦇「え〜俺もとわりちゃんと一緒で嬉しい〜 え〜っと…150cmぴったり!どう?のびてた?」
🍥「……まあ、2年生になったら急に凍メル先輩くらい伸びるかもしれないです!成長期!」
すすーとせんぱいが横規を下げるも、あまり結果はふるわなかったようだ。

するとチン!と軽やかな音がして横に置いてあった膝丈くらいの箱からツツーと紙が吐き出された。
名前と今さっき計った身長の数値が記入されており、
よく見れば体重計や座高測定器なんかにも同じような箱が設置されている。身体測定が可能なようだ。
🍥「わ、なにか出てきましたね。…私の名前と身長?が書いてあります。
先生なしで健康診断ができるんでしょうか。」
🦇「楽しそうだしやっちゃう!?」
ノリノリのせんぱいに乗せられて私も部屋を見回し次の測定器具を探した。
🍥「むー、どれにしましょう。…あ。最近キャンディ食べ過ぎなので体重計はまた今度がいい、です。」
🦇「そう? じゃあこれしよ!握力測るやつ!」
彼はきょとんとして反応するも、すぐにぽつんと置かれていた握力計を指差した。
メモリの上にはメモが貼ってある、「限界を超えて壊すの禁止」だそうです。
よく見れば至る所にヒビやテープで補修された跡がある為、
過去に他の生徒が力みすぎて壊してしまったのだと伺える。
🦇「オレそんなに力強くないし!全力でやっても大丈夫でしょ!」
丁寧にフラグを建設しておきながらもぎゅーっと全身の力を拳に込めようとする先輩の握力、
つまりお手並み拝見…! だが握力計に軽く力を込めたその瞬間、
持ち手が折れて針がびょーん!と飛び出して行き壊れてしまった。
元々の損傷が大きかったのかもしれない…。
🦇「ありゃりゃ。壊れちゃった。…これどこに隠す〜?」
🍥「わ、どうしましょう…」
すると突然、スピーカーから耳をつんざくような大音量で
「こんにちは〜〜っ!」とベルちゃんの元気な声が聞こえてきた。
…私はびっくりして動けませんでしたが、先輩は楽しそう!目を輝かせています。
🍥「…い、今のって、ベルちゃんとアム先輩の声…でした、よね?びび、びっくりしました…」
🦇「え〜!超楽しそうじゃん!オレたちも乗り込む?」
ワクワクウキウキで窓を指さす彼。強引に外からダイブを試みているようだ。
🍥「えっ、わ、私飛べないんです…!」
🦇「へーきへーき!とわりちゃんぐらいなら抱えて飛べるよ!」
そっと私の手を取って、先輩は大きな黒い翼を使って重力に逆らっていく。
…拝啓、ご機嫌いかがでしょうか迷子の学園長。
私は今、ビタ先輩といっしょに放送室へダイナミックアタックをくりだす瞬間にいます。
きんこんかんこん。 授業の終了を知らせるベルが鳴っていることも忘れて、衝撃に備える体制をとる。
まあよく見れば窓は空いていましたので、ガラスを割って盛大にお邪魔したわけではありませんが。
なんだかちょっと残念です。
🦇「おりゃーーーー!!…ってあれ、うわーカーテンがあ!邪魔だよ!もー このっ!」
👻「ぎゃっ…!!?? ちょ…ちょっっっと待って何!?なに!?イヤーっ敵襲!?」
☎️「あれ!?とわりだー!ビタもいる!どこから来たの?
そうだ!チャイムもなったし校庭であそんでこようよー!」
ベルちゃん、とってもげんきですね。良いことです!
背を伸ばすためには食事と睡眠に運動が欠かせませんから、ぜひ私も!
と思ったその時。ぶぶ!と携帯が揺れました。
小さな緑のモニターにはぱふぃさんのお名前があって、メールが届いたようです。
「ゐωナょママゐ⊃レナナニ─!?ー⊂″っちレニιзイ夲育食官レニ集合!ナニ″∋!
ー⊂″ぅιょぅめっちゃ⊇ゎ<ナょっτ、キナニナょωτ″レヽナょレヽωナニ″з─;;」
…ううむ、読めませんね。むずかしい…
ですがかろうじて体育館、は読み取れました。えっへん。
🍥「支給品ですけど…便利ですねえ、 これ!体育館にもどりましょうか」
👻「ハーーーびっくりした…そ、そうね…ほら行こう、リンベル。遊んでる暇なさそうだよ」
🦇「あーあ、かっこよく登場できるかと思ったのに。体育館こそ窓破って行こうかな?」
☎️「…?よくわかんないけど、たのしそうだねー! 次はリンベルも混ぜてね、ビタ!」
▷愛沢・ぱふぃ・らびぃ
未だ新着メール無しの携帯に、ノールックでセンター問い合わせをくり返す。
明らかな異常事態、冷や汗がじわりとほおを伝っていく、ヤダージャケットの下ノースリーブなのに!
💘「体育館って冷房ないからあっつい汗とママが不安なひやひや汗で体がどうにかなっちゃいそう!
も〜みんなまだかなママまだかな〜〜!!」
🐱「や、でもたしかにあついですなんか…おかしいな。まだ夏本番じゃないのに」
🍯「あ、ぱふぃちゃん達…!その様子だとまだ見つかってないみたい、だね。
お疲れ様。今日の授業どうなるんだろう?」
🍗「もう。変なもの見て嫌な感じです〜…
この後授業がないなら寮に戻ってお風呂に入りたいのですが、勝手に帰るわけにはいきませんよね」
う〜ん… 、?
ちょっと待って。ねえ、いくらなんでもあつすぎる、
💘「っダメ伏せて!!!」
___刹那、放送よりひどい衝撃と鳴り響く爆発音。
体育館の壁が一部瓦解していく、敵襲?”ここ”に? ママは、退路は、怪我してない?
🐱「せんぱいあれ…!!」
ヴルコが指さす先、見つけたのは… 脳が露呈し血走った目に虚ろな歩き方。
紛れもない、ぐろっきーずだ。
片手でメガホンを手に取って、 もう片方の手でメールを打ち込む。 お願いママ、無事でいて。
💘「…大丈夫、訓練通りにね。総員戦闘体制!」
喉を震わせながら飛んでいく。敵の数を確認しなきゃ、
ほかのみんなとも合流したいし早く、速く行かないと、前に出ないと。
🍯「なんでこんなとこに出るの…!外で軍が戦ってるんじゃないの!?ヤダこっちこないで…!!」
🍗「もう…お昼は済ませたあとなのですけれど。 はやくお片付けしちゃいましょう」
ほんとにそう、なんだってこんな時にこんな場所に出てくれなくていいのに!
ああこれがあってママは見つからなかったってことなの、?
メガホンを構えて3人に向かって声を上げる。 バフ掛け、まだ 効くといいな。
ぴこん。
それは携帯の着信音。特別にそれだけ着メロを変えていて、1秒で誰だかわかるようにしてるの。
💘「ママ!
…ぁう、」

手から携帯が滑り落ちて、ぱふぃちゃんも後を追う。ただ落ちていってるだけとも言うけど。
そういえばこの前の戦闘訓練で 携帯をいじって怒られたっけ。
ママ、どうして。
▷キャラクタロストの為、プレイヤーを変更します。
▷サナナ・ネヲル
ひどい高さから、肉が叩きつけられた音。
衝撃に耐えられずに木っ端微塵になった、せんぱいの携帯、せんぱいのメガホン、せんぱいの体。
🐱「へ…?え、?待って、ヤダ、待って…待って!!!」
わかってる、あんな高さから落ちて助かるわけない、
駆け寄ったって転がってるのはもうぐちゃぐちゃになったせんぱいってわかってるのに、
それでも願ってしまうサナはどうかしちゃったのかな。
そうだ、そう、サナはびっくりして見間違えただけ、体が真っ二つになったせんぱいなんて、
…ぐちゃり、彼らは踏み荒らしていく。せんぱいの体を越えて校内へ。
さっき巻き直した髪も拾ったお菓子も無下に壊していく。
🐱「ヤダヤダそんなんしないでよ…っ!! ヴルコお願いせんぱいのこと助けて!!!
まだもしかしたら生きてるかもしれないじゃん生きててほしいの!!」
🍗「待ってください、多勢に無勢です今そっちいったら危ないですよさななちゃん…!!」
ティティに止められて、サナは精一杯ヴルコを伸ばしても届かない。
すい!と黄色のスライムがサナ達を追い越して走っていった。
🍯「ウチのスライムでぱふぃちゃんはなんとか回収してみる…けど、
なんかおかしいよ…!一旦引こうてぃてぃくん! 数も多いし倒しきれないって…!!」
どうしよう、確かにサナだって戦うのは怖い、
でも踏んだあいつらもイヤだしこのコロニー内に入られてしまったならどこに逃げればいいの。
そんなことがぐるぐると思考回路を駆け巡る、どうしよう、どうしよう!
すると、聞き慣れた声が体育館…だった場所に響く。
🧬「3人共、こっちだ!」

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