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午後の授業の為、体育館に集まったモンスター科の生徒達。

だが待てども待てども学園長である愛沢・ぺてぃ・らびぃは現れません。

そこでぱふぃの提案により授業内のペアに分かれ、 学校内を探索することになりました。

このページで探索するのは「美術室」です。

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なかなか個性的な色使いのキャンバスが飾られたイーゼル、

ペンキを被って地の白が見えなくなった彫刻、

「宗教画の歴史」と書かれたシリーズの本がびっしり収められた本棚。

ほんの少しシンナーのような匂いがするのは、ペンキや絵の具を使用するからだろうか。

何故花散里リリィではなく、メイ・パールドールなんだ…とでも言いたげに入室した一方と、

誰とであろうとどうでもいいのか、気だるげに入室した一方。

愛沢からペア割を伝えられていた際あれほどまでに熱烈な視線を送ったものの叶わなかったオリバーは

無数の足で本棚まで歩み寄り、その一つに手を伸ばした。

十字架にかけられたキリストがつらつらと赤い血を流している場面や、

聖母マリアが処女受胎の告知を受けている場面。

様々な絵画が作者の名前と解説されており、キリスト教の内容がやはり多いようだ。

そして所々に付箋が貼られており、アダムの創造、バベルの塔、楽園追放…

など旧約聖書のページに青い付箋が集中している。

中には直接書き込みまでしてあるが随分乱れた筆跡でなんと書いてあるのかは解読できなかった。

誰かが熱心に調べ物でもしたのだろうか。

🚬「このミントカラー リリィの髪の色に似てるな」

メイ・パールドールは彫刻へ目を向けた。

彫刻には口の位置に白薔薇が差し込まれており、目には白いつけまつ毛が飾られていた。

他の彫刻もそんな感じで瞼がやたらキラキラしていたり唇が潤っていたりで、デコられている。

 

⛓️「…なんだと。

私の聞き間違いでなければお前は今リリィの髪の………

リリィ、の言葉を聞き逃すわけもなく、読み進めていた本から顔をあげじっとりと見つめようとするも、

突然、スピーカーから耳をつんざくような大音量で

「こんにちは〜〜っ!リンベルだよー!へへっ、ねえこれ、ほんとにみんなに聞こえてるのかな?アムもなにかしゃべってみてよー!」「うえっ!?ええっと…ええっと…ア、アム…だけど……うう゛…」

…と声が聞こえてくる。2人はどうやら放送室にいるようだ。

「おもしろいねぇ、これは音楽?」

Ring-Bellの声のあとにカチャカチャと機材をいじっているであろう音が聞こえると、

突然その爆音でぴか高の校歌が流れ始め、 「ぎゃあー!うるさい!」彼女がそう言って、BGMは停止される。

「あ~…そうだ、学園長〜もう午後の授業の時間とっくにすぎて…ます…」

​それを最後に、スピーカーは沈黙した。

放送が終わるまでオリヴァ〜は硬直して、それから大きなため息で再起動した。

 

⛓️「……はぁ。あの声は1年生の…。それとなんだ…2年の…あいつか。

…後で無闇矢鱈に備品に触れるなと言うべきか……」

ため息を吐いたかと思うとジメジメブツブツと独り言を呟いている。

🚬「アハハハハ相変わらず煩いな〜耳痛ぁアハハ耳障り〜」

オリバーがメイに向かっていつものネチネチが始まった事に気づいたが、彼は知らぬ振りをした。

⛓️「………さっきの放送に遮られてしまったが私の聞き間違いでなければ

お前は今先程リリィの髪の色の様だと言ったか?メイ・パールドール。

何も知らない哀れなお前に私から1つ知恵をわけてやろう。リリィの髪の色は #b9d7d9 だ。

リリィの髪の色はこんな下品なペンキの色よりも青みがかっていて

もう少し明るくて優しく上品だ。二度と間違えるんじゃない。」

🚬「はいはいオリバー先輩って色に詳しんだ〜でもこのペンキの色俺は好きだなぁ淡くて綺麗で。

俺には汚い色とかよく分かんないけど...あとちょっと顔近いです」

イラスト:ぽーのすけ様(@ponosuke_signal )

 

知らぬ振りをするメイ・パールドールに近づけば、顔がぶつかるほどのの距離で語りだす。

いつものオリバーの嫌味に呆れ軽く返し1歩下がった。

⛓️「…フン 大層おしゃべりで可愛らしいことだな。お生憎私はお前の色の好みなど興味が無い。

どんな色であろうとリリィの産まれたままの色に勝るものなど……リリィ…………。

そもそも…どうして……どうしてリリィは私と………何故私ではなく沈香堂となんだ……

何故………ウッ………リリィ…………………」

 

ブレザーの襟を正しながらお喋りを続けているうちに

意中の相手と一緒に行動出来なかった事を急に思い出し、

膝から崩れ落ちるかのようにオリバーは泣き始めた。

ギュイーン!とカッコイイギターから始まる、ロックバンドの曲だろうか。

先程とは違い丁度いい音量でBGMが放送され始めた。

戸惑っていると、きんこんかんこん…と授業終了のチャイムが鳴った。

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